先月末にはなりますが、日本でも定額音楽購読サービスの一つであるSpotifyがローンチしましたね。実はめっちゃ待ってました。先日、日本版の招待コードが来たので、無料プランでお試しして数週間が経ちました。Spotifyについての説明はReal Soundさんの記事を参照してください。

では、使ってみた感想を書いてみます。まずは良かった点。

定額制の中では無料プランってのが珍しい

Spotifyよりも先に日本でサービスを開始していた定額音楽サービスの代表格であるApple MusicやGoogle Play Musicは、全くの新規登録であれば1ヶ月あるいは2ヶ月無料でお試しが出来ますが、その後は有料プラン固定で月額980円かかります。対してSpotifyには、ずっと無料で使える無料プランというものがあります。

なぜ無料プランが可能か簡単に言うと、音質が有料プランより少し抑えめだったり、数曲ごとに広告が入ったりします。あと、幾つか機能制限があり、以下のことは出来ません

  • 再生中の曲のシークや目当ての曲だけを狙い撃ちして聴く
  • オフラインで聴くためにダウンロードする
  • PCとタブレットから無制限に聴く

公式プレイリストの選曲と更新性がすばらしい

Spotifyの最大のメリットとして、公式が作っているプレイリストがとても充実していることが挙げられます。ムード、トップ40、用途別、ジャンル別など、数限りなくあります。ユーザーの作ったプレイリストも多く公開されていますし、筆者もいくつか購読していて、今まで知らなかった楽曲も多く触れる機会ができました。

実はこのシステム、以前あった定額音楽サービスRdioとよく似ています。実際、数年前まで筆者はRdioユーザーでしたので、使っていてシンクロする部分が多くあります。Spotify自体の使い勝手や公式が作っているプレイリストが良くて、ラジオや作業BGM的に流すにはもう100点満点。そして、プレイリストは更新前提で作られているので、常にどんどん曲が追加されていきます。トップ40系はめまぐるしく変わりますので楽しい…!

オフライン再生用途とか、この曲が聴きたい!って時に筆者は現在Google Play Musicを使っていますが、Google Play Musicのラジオ機能(関連アーティストやジャンルの曲をランダムで流す機能)の精度や種類がイマイチなんですよね。ちょっと古い曲のまま更新が止まってたり、一向にラジオの種類が増えないとか。Spotifyにはそれがない。

知らなかった良曲やアーティストを知ることが出来る

Spotifyに限らず、こういった定額音楽サービスの醍醐味の一つは、好きなジャンルのラジオやプレイリストをランダムに流してみて、今まで知らなかったけどこれいいなーって曲を見つける楽しみが増えるところだと思います。

先述の通り、Google Play Musicはこの機能がちょっと弱い。対して、Spotifyはかなりの高確率で「アタリ」の曲やアーティストが流れてきます。そういった曲を自分のプレイリストの中にまた集めるというのもいいですね。ほんとこれ楽しい。


一方で、イマイチな点を挙げてみましょう。

PCとタブレットからだと月15時間の視聴に限られる(無料プランのみ)

無料プランだとそうなんですが、同時にうまくやってるなぁと感心します。だって、作業BGMとして流す環境って圧倒的にPCやタブレットが多いもんね。その用途でずっとかけてると、数日であっという間に15時間なんて使っちゃいます。それなら有料プラン契約するかな…ってなるよねw

ラインナップが少なめ

Apple MusicやGoogle Play Musicとアグリゲーターが違うせいでしょうかね。特に邦楽はちょっと少ないです。完全にこの2つ or どちらかを解約してSpotifyに移行!とはならないですね。ただ、定額音楽サービスはそれまで配信されていなかったけど、しばらく経つと配信されるミュージシャンやアルバムも多いので、これからに期待といったところ。

まとめ

こんな感じで良い点も悪い点もひっくるめて、アリじゃないかなぁって感じました。何事もそうですが、音楽に触れあえる手段が増えるというのはこの先も続くでしょうし、変に手段を束縛せずに楽しみたいものです。

筆者自身は、Google Play Musicの有料プランを継続しつつ、Spotifyは無料プランでしばらく様子を見ようと思います。


トピックとしては少しずれちゃいますが、こんなことも感じました。

日本の音楽関係者はもう少し定額制に柔軟になってみてもいい

日本の音楽関係者は、いまだに定額制サービスどころか、ダウンロード販売に積極的でない音楽関係者も多いのが現状です。たまにびっくりするのが、使いもしていないのにただ非難している方もいらっしゃること。そこを非難ばかりしても仕方ないし、日本での音楽文化はある種宗教的な部分もあるので、現状を容認出来るほとんどの日本の音楽関係者の方は、今のまま独自の動きを続けていってもそれはそれで良い未来が待っているでしょう。

筆者は、2011年の自身名義アルバムを最後に日本での活動をほぼ休止しました。体感としては、こうしてネットを使った何かしら新しい文化や流れが日本に来るには5年ほどタイムラグがあります。以前は3年ほどで止まっていたんですが、定額制導入のごたごたを機にまた開いた感じですね。いわゆるテレワーク主体で制作をしている筆者にとっては、定額音楽サービスの登場は当然のことかな、と感じます。

ただ、それが良いか悪いかという話ではないんですよね。そういうモノの見方って、2010年代にはなんか違うような気がします。

事実、定額制が全てというわけでもないです。レコードやCDといった有形のメディアもまだまだ充実している日本ですし、今も大事な音楽との触れ合い方になっています。最近ではカセットテープも見直されていますよね。

あらゆるプロセスを大切にする日本では、芸術とのふれあい方も例外ではなく、がっつりプロセスをショートカット出来ちゃうネット経由での音楽とのふれあい方は一般化はしてないし、これからバリバリシェアを伸ばすかというと、定額制を愛用している筆者自身も疑問を持っています。それに、定額制には登録していないアーティストも国内外問わず多くいらっしゃいます。一昔前のTaylor SwiftとSpotifyのごたごたは一層日本にSpotifyが来るのを遅くしたような気もします。

そういうことも踏まえつつ、あらゆる物の形は常に変わり続けるのが世の常でもあります。筆者は、楽しみ方が増えてくれるのはウェルカムですし、形が変わったからって本質はそんなに変化しないと思ってます。

せっかくやっと日本にSpotifyが来てくれたんだし頑張って頂いて、この先もまた違ったスタンスのサービスが生まれることを期待しましょう。


最後に、Spotifyでも筆者のアルバムを配信しています。初めての方も久々の方も触れてみて頂けるとうれしいです。