前回から始まった “The Album” エピソードトーク。音楽的なバックグラウンドや、使用機材も紹介しつつ進めていきたいと思います。

前回は「席がえ」の裏話だったんですが、まだご覧になってない方はどぞー。

席がえ裏話

背景

今回のテーマは3曲目「かた恋」。バラードでいこうというのは最初から決めていました。

というのも、中学時代の片思いのテーマ曲が全てバラードだったんですよ。あー甘酸っぱい。一時期、好きな子を思う時、いつもこの曲が流れていました。

いやー、やっぱり珠玉のバラード。いつ聴いてもいい。で、この曲をベースに、他のいくつかのお気に入りの曲のエッセンスを組み合わせました。それらがこちら。

これらをそのまま組み合わせると、がっつりAORかR&Bバラードになっていくんですが、メロディと譜割りはあくまでJ-Popを優先させました。

使用機材とアレンジ裏話

テーマとしている記憶は古い部類に入るので、思い出に少しもやがかかった感じを出したかった。一方でテーマは「席がえ」と共通する時間軸でもあるので、使うリズムセクションはそこまで大きく変えていません。

この曲のビートもやはりというか、お気に入りのSteve Gaddさんを意識しています。バラードとはいえ、8ビート主体の16ビートハイハットが乗るというもの。

使ったドラム音源は「席がえ」と同じくAddictive Drums2のVintage Dry。キットのチューニングとOHの設定を少し変えています。ベースはKV331のSynthmaster2。エレピはStudio One4付属のPresence XT。ストリングスとベルはSpectrasonicsのOmnisphere2。

特にベースは手弾きと思われた方もいらっしゃったかと思いますが、意外や意外、シンセベースだったんです。最近の音源づくりではKV331の音源は結構多用してますね。使いやすいです。

仕上がりイメージとしては、リアルタイム世代ではないですが 1970年代。1990年代のJ-Popバラードを1970年代の技術で再現したら、というモチーフです。先述のもやがかかった感じというのを、1970年代当時の録音技術くらいのモノラル感が欲しかったので、あまりパン振りもしていません。

あと、この曲は各楽器のタイム調整に一番時間がかかりました。ガッチガチにすると「席がえ」くらいクリアになってしまう。でも、ルーズすぎるとダレる。この中間にするのか、タイトorルーズどっちに寄るのか、それこそ完パケ直前まで0.01msずつずらしては様子見を繰り返してました。平均すると各楽器のタイムは13-14msあたりで調整してます。

ボカロと歌詞について

この曲はVocaloid5付属ライブラリ Ken を使用しています。パラメーターは少しクール寄りだったかな。全曲共通していることなんですが、Kenのパラメーターは、Kaori使用の曲よりもそこまで大きく変えていません。

歌詞については、既出の通り、「席がえ」との共通フレーズの響きの違いがキーとなっています。

具体的には「社会見学 みんなの企画」「隣の席の君(キミ)」「卒業」「ページ」「ありがとう」がキーフレーズ。ぶっちゃけ、字数の関係で泣く泣く他の表現にしたものもありますが、あの頃に隣の席同士だった二人ともがアルバムの写真を見ている背景がありました。そこから時間軸を逆流して物語を当てはめていった感じ。

かた恋 歌詞
Written, Composed, Arranged by Tetsuya Tanaka


あぜ道を抜け 溝をとびこえ
うしろ姿の 君
幼い僕は 名前を呼んで
草のかげ 隠れる

「何してんの?」 頬を膨らます そして笑いあう
帰り道で 気付いた頃には この気持ち なぜだろう 高まる胸

はじめての恋 どうしようもない
見つめるだけで 胸がいたい
同じクラス なれた最後の年も
名前さえ 呼べないままでいた

社会見学 みんなの企画
何度も 話し合う
バスの中では 慣れない二人
でも徐々に 笑顔になる

「おつかれさま」 安心した後 言葉止まらず話す
日々が過ぎて 気付いた時には 惹かれてた 愛しさに 勝てない

二度目の恋は 少しずつ始まる
隣の席の 君がまぶしい
あの日のように 気軽に話せない
なぜだろう 勇気が出てこない

放課後 いつもの 帰り道
となりに いてほしい だけなのに
言い出せず 見つめてる だけの日々
卒業式 君と すれ違う…

あの日 もしも 伝えたなら
どんなふうに 変わったのかな
でもね そっと ページを閉じよう
別々の 写真のまま

何十年 経った今が
幸せだと 胸を張るよ
勇気出して 進むことの大切さ
教えてくれて 「ありがとう」


©2019 Tetsuya Tanaka, Curry ‘n’ Groove Studio

この曲は、隣りにいる君なんだけど、好きすぎて見れない様を描きたかったので、あまり具体的な描写を避けています。しかし…改めて読み直すと切ないねー。切ない。甘酸っぱいわー。

さて、今回はこんな感じでお後がよろしいようで。次回の裏話記事では”Unfinished Song”を紐解いていきたいと思います。


ちなみに、”The Album”エピソードトークは、ブログ内タグ Deep-Story でまとめてご覧いただけます。ちょっと遡りたい方や初めてご覧になる方は、太字Deep-Storyをタップ、クリックしてみてくださいませ。

Tetsuya Tanaka と申します。記事を気に入って頂けた方は、上にあるハートボタンを押して頂けると嬉しいです。プロフィール:レコーディングディレクター、作編曲家、トラックメーカーのかたわら、レースシミュレーター・フライトシミュレーターのWeb管理、日英翻訳、ドローン操縦士をやっています。滋賀出身横浜在住。WindowsとStudioOne使い / Spotifyでアルバム配信中です。僕のセレクトしたプレイリストも随時更新中してます。 => Tetsuya Tanaka on Spotify